極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

 恐る恐る、ほんの少し震える唇で呟く。

 紗代ちゃんはその言葉に、真剣な眼差しで零した。

「うん。あたし的には言ってくれたほうが、結衣に何かあった時にすぐに助けられるし。」

「……言う。紗代ちゃん、私言うよ。氷堂君との事。」

「だけど結衣は、あたしのこと……」

「誰よりも頼ってるよ! 紗代ちゃんは私にとって、お姉ちゃんみたいに頼りがいがあるから!」

 本当のお姉ちゃんみたいな存在だから、一番頼れる。

 人が居ないからか、声が反響しやすい。

 私の声が反射して返ってきた時、紗代ちゃんは口角を上げた。

「結衣が言ってくれるっていうなら、あたしはちゃんと聞く! さぁ、どんとこいよ!」

 ……紗代ちゃん、まさかとは思うけど……さっきの、演技?

 そう思うのはきっと、紗代ちゃんに失礼。

 でも今の紗代ちゃんは、すっごく「やったっ!」って顔をしている。

 どこか、企みが成功したように微笑んでいる気もするし。

 変だと思っていた。紗代ちゃんは急に勢いが落ちる子じゃないって、知っていた。