極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

「そ、そういうわけじゃっ……!」

「でも結衣は、あたしが頼りないから言ってくれないんだよね……。うん、嫌なら無理に言わなくてもいいしさ……はは。」

 さっきまでの勢いがなくなり、しおらしく俯く紗代ちゃん。

 私ってば、ダメだ。

 親友にこんな事、思わせちゃうなんて……。

「さ、紗代ちゃんっ!」

 大きな声で、名前を呼ぶ。

 紗代ちゃんは頼りなくなんかないよ。むしろ頼りがいがあるんだよ。

 そんな気持ちが伝わるように、私は紗代ちゃんの手をとった。

「私は紗代ちゃんのこと、誰よりも頼りにしてるし信じてる! だからこそ、言えないっていうか……」

「それはあたしが聞いたら、ダメな事?」

「……分かん、ない。」

 そう聞かれれば、私にはそう言うしかない。

 私は阿辺君に騙されていた。嘘を吐かれていた。

 だからあの紗代ちゃんに言わないって約束は、もしかすると無効になっているのかもしれない。

 ……気にしなくても、良いのかな。

「私……ちゃんと言ったほうが良い、よね。」