「え? でもほとんど毎日氷堂君のこと見て……」

「勘違い、それ盛大なる勘違いだから! というかあたしのタイプはあんな八方美人タイプじゃなくて、もっと男らしいクールな感じな男なの!」

 へぇ……そうなんだ。

 初めて紗代ちゃんからそういう恋愛話を聞いて、少しだけ口角が上がってしまいそうになる。

 恋愛には興味ないって言ってたのに、もしかしたら紗代ちゃんに彼氏ができるのは時間の問題かもしれない。

 私は紗代ちゃんにバレないよう、こっそりとそう思った。

 ……え?

 その時、氷堂君とほんの一瞬だけ……目が合った気がした。

 そして……微笑んだ。

「え、今の見た!? 氷堂君あたしに微笑んでくれたんだけど!」

「ちょ、あたしかもしれないじゃん!」

「それにしても……さっきのは眼福すぎるわ……。」

 だけど近くで氷堂君を見ていた女の子がそんな会話をしていて、はっと我に返る。

 私、何考えてるんだろうっ……。氷堂君が私に……なんて、あるわけないのに。

 自意識過剰な事思ってたな、と自分が恥ずかしくなり窓から離れる。