極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

 それなのに今のお兄ちゃんは……すごく、怒りを露わにしていた。

 ピキッと血管が浮かんできちゃいそうなくらいキレているお兄ちゃんに、驚きを隠せない。

 止めようと声を上げかけるけど、その前にお兄ちゃんのマシンガントークが始まる。

「得体も知れないお前みたいな男にお兄さんなんて呼ばれたくねぇっ……! つーかお前、俺の妹に何の用だよ? どういう関係で、どういう経緯で、一緒に登校する事になってんの?」

 ……これも、シスコンって言葉で片付けてもいいのかな。

 もうこれシスコンって度を越えてるんじゃないの……?と思ってしまい、ただただ困惑しまう。

 でも氷堂君は何一つ顔色を変えずに、サラッととんでもない言葉を落とした。

「俺と湖宮さん……いや、結衣さんとお付き合いしてるんです。」

「…………は?」

「えっ……!?」

 え、ちょっと、氷堂君っ……!?

 あまりにも流されるように言われた言葉に、目を丸くさせる。

 お兄ちゃんもさすがに驚いているのか、ぽかんとしているし。

 そんな中、氷堂君だけは相変わらず涼しい顔をしていて、そのまま私の腕を引いた。