極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

「うん、分かった……。」

 私はしぶしぶだけど、お兄ちゃんともう少し一緒に入れるから複雑な気持ちで返事をした。



「最近何か変わった事はあったか?」

「へっ……!? な、何もないよ?」

「……そうか! なら良かった。」

 いつもの通学路をお兄ちゃんと歩いていると、唐突に疑問を投げられた。

 それがまさか、今聞かれたくない事で大きく動揺してしまう。

 変わった事……昨日、ありすぎて……。

 でもそれを言うわけにはいかず、あからさまに全否定する。

 お兄ちゃん、隠してごめんね……!

 そんな気持ちを込めて返事をすると、お兄ちゃんは不思議そうな表情の後に安心したような笑顔を見せた。

 その笑顔が、今は純粋に見れなかった。

 お兄ちゃんはいつでも私の味方。小学生だった頃、私はお兄ちゃんによく助けられていた。

 私を傍で支えてくれて守ってくれているから、騙す事に罪悪感を感じずにはいられない。

 こんなの、ダメなのに……。

 お兄ちゃんに心配をかけまいと咄嗟に嘘を吐いたけど、やっぱり隠すなんてダメな事だ。