極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

「お、お兄ちゃんそろそろ離してくれるとありがたいかな……。」

「え、結衣反抗期!? 嫌だぁ、結衣に嫌われたら生きてけない~!」

「そういうわけじゃ……このままじゃ、ご飯食べれないし……ね?」

「結衣に反抗期は来ないと思ってないと思ってたのに~……。」

 あぁもう、お兄ちゃん……。

 シスコンってここまで来たら、ちょっとだけ困りもの……かも。

 お兄ちゃんにバレないようにひっそりとそう思いながら、私は何とかお兄ちゃんをなだめて朝食を食べた。



「私そろそろ行くね。」

「お、それじゃあ送っていこうか? どうせ俺も用事あるし。」

 準備を一通り終え、家を出ようと声をかけた時。

 おもむろにお兄ちゃんからそう言われ、私はあからさまに口ごもった。

 ……な、何て言おう。

 お兄ちゃんが送ってくれるのは嬉しい。最近お兄ちゃんと会えていなかったから、一緒に居る時間が多くなるのは嬉しいんだけど……氷堂君のことがあるからなぁ。

 私は少しだけ考えてから、ごめんねと謝った。

「今日友達と一緒に学校に行く約束をしてるから、私は大丈夫だよ。」