極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

 ふふっ、お母さん眠たそう。

 実を言うと私もまだ眠たいけど、今寝たら起きれなくなる気がする。

 だからこのまま、ご飯も食べてしまおう。

 そう考えながら、朝食の準備をしているお母さんを手伝おうとスクールバッグをリビングのソファに置く。

 それと同時に階段から、眠たそうにあくびを洩らす声が聞こえてきた。

「母さん、結衣おはよ……ふわぁ……。」

「お兄ちゃんおはようっ。寝癖、ついてるよ。」

「マジか。ちょっと直してくるわ。」

「うん。行ってらっしゃい。」

 まだ寝ぼけ眼らしく言葉を発した彼は、私のお兄ちゃん。

 私より四つ上の高校生で、すっごく頭がいい。

 県内で有名な高校に通っているし、スポーツだって上手。

 中学生の頃は陸上選手で駅伝もしていたから、お兄ちゃんはとても筋肉質。

 だけどこの時間はお兄ちゃんは、本来ならもう学校へと向かっているはずの時間。

 それなのに今お兄ちゃんがここに居るのは、今日がお兄ちゃんの学校の創立記念日だから。

 だから今日はお休みで、お兄ちゃんが居るというわけ。