極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

 今考えてみれば、やっぱり胸が痛む。

 ……阿辺君が私を嫌うのは、分かるけど。

 地味だし冴えないし、阿辺君からしたら私はきっと目障りなんだろうな。

 それでも騙されるのは、さすがにしんどい。

 明日から一体、私はどうなるんだろう……。

 多分、無事では済まないだろうなぁ……あはは。

 王子様と呼ばれる氷堂君と付き合っているなんて、女の子たちから非難や嫉妬の視線を向けられる事間違いない。

 ……だけど、助けてくれた氷堂君に私が何か言えるわけがない。

 これくらい、耐えられるから……。

 私ははぁ……と息を吐き出し、自分の頬を軽く叩いて喝を入れた。



 翌日の朝は、意外にもぐっすり眠れた。

 緊張や不安で眠れないかもと思っていたから、朝から安心した。

 でもいつもより少し早く起きてしまったらしく、外はまだ薄暗い。

 けど起きてしまったから、私は学校へ行く準備をした。

「お母さん、おはよう。」

「あら、結衣今日は早いのね~。おはよう~。」

 いつも通りのんびりなお母さんに、自然と笑みが零れる。