「うーん、どうなんだろう……。」

 私はあまり氷堂君と話はした事ない為よく分からないから、何とも言えないのが本音。

 でも確かに、紗代ちゃんの言う通り嫌な顔一つしないのはどうしてだろう?

 あれだけいろんな人に囲まれたら、嫌というまではいかなくとも疲れるはずなのに。

 元々、氷堂君には疑問がいっぱいある。

 毎回テストで学年一位を保持している事や、スポーツをさせれば右に出れる者はいない事とか。

 氷堂君の感情も読みにくいのも、疑問の一つであった。

「ほんと、不思議な奴だよね……。」

「紗代ちゃんは、みんなみたいに氷堂君に何か思ったりするの?」

 そういえば、紗代ちゃんはいつも窓の外から今の様子を眺めている。

 もしかしたら氷堂君に何か思ってたり……なんて考えに至る。

 率直に尋ねてみると、紗代ちゃんは私の両肩をガシッと掴んだ。

 ……そして、大きな声で宣言するようにこう言われた。

「結衣が何勘違いしてるかは分からないけど、あたしは全然氷堂になんか興味がないから! そもそも、恋愛とかにあたしは興味もこれっぽちもないの。だからマジで勘違いしないでほしい。」