極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

 ……あ、氷堂君からだ。

 何で私が氷堂君の連絡先を持っているかというと、さっき交換したから。

 仮の恋人って事になっているし、友達だから連絡先を持っていたほうがこの先もいいだろうという事らしい。

 でもこの曖昧な関係って、一体いつまで続くんだろう……。

 よくよく考えてみれば、それだけが懸念点だった。

 卒業までなんて氷堂君に申し訳なさすぎるし、だったらいつまでって感じだ。

 ……ううん、今考えてもダメだよね。

 とりあえず、氷堂君からのメッセージを確認しないと。

 はっと我に返った私はスマホを操作して、送られてきた内容を確認する。

《明日からは一緒に登下校しない? そのほうが恋人っぽくみられるだろうし、湖宮さんが嫌な目に遭っても嫌だし。》

 登下校、一緒……。

 その文字を見て、私はしばし固まった。

 男の子と一緒に学校に行ったり、帰ったりするなんて……今までになかったから。

 そもそも、友達と帰った事すらない。

 紗代ちゃんと家が近いわけでもないから、このお誘いは私にとってすごく興味深いものだった。