家に帰り、玄関を閉める。

 途端、私はその場でしゃがみ込んだ。

 だって、未だに信じられない。

『それじゃあ俺たちは表向きは恋人だけど、友達って関係なんだよね。』

 仮とはいえ、恋人なんて……。

 みんなから尊敬されていて、手が届かないような存在の氷堂君。

 ……だけどもう、こうなってしまったからには仕方ないよね。

 氷堂君が言った通り、明日には話が広まっているはずだ。

 でも私には、一つだけ疑問に思っていた事があった。

 ……どうして氷堂君は、迷いなくあんな言葉を言ったんだろう。

『それじゃあこの子は、俺が貰っていい?』

 それだけが腑に落ちなくて、うーんと考え込んでしまう。

 気にしすぎ……かもしれないけど、どこかが引っかかる気がしたんだ。

 ――ピロンッ

「ひゃっ……び、びっくりしたぁ……。」

 突如、スマホが通知を知らせるバイブレーションを鳴らした。

 そのせいで変な声を出してしまったから、確認するのに手間取る。

 けどなんとか開いて、送り主を確認した。