極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

 何があったのか、俺には分からない……けれど。

「それじゃあこの子は、俺が貰っていい?」

 ……そう言わなきゃ、気が済まなかった。

 告白……って聞こえた気がするから、おそらく恋愛関係のごたごただろう。

 その単語から連想されるものは、一体……。

 場の状況を考えて、懸命に頭を回転させる。

 でもはたと、男子生徒の尖った声色が飛んできた。

「氷堂、それどういう意味だよ。」

 どういう意味……?

 白々しいにもほどがあるだろう……と、言いたくなる。

 君が湖宮さんを悲しませたのは、間違いないでしょ?

 少しばかり考えてみたけど、俺にはやっぱり何かが分かるわけじゃない。

 だけど湖宮さんへの罵詈雑言は……俺が許さない。

「どういう意味もないよ。俺の意思で、俺の気持ちで湖宮さんを貰っていいかって聞いたんだよ。良いでしょ、俺が湖宮さんを俺のにしても。」

「っ……そいつ、超陰キャだぜ? すっげー根暗だぜ? それでも良いのかよ?」

「俺にとって、君の湖宮さんへの印象は全く関係ない。湖宮さんへの妙な偏見はやめてくれないかな。」