極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

『氷堂って、何でもできすぎて俺らと同じとは思えねーよな。』

『ちょっと遠慮しちゃうっていうかさ……あたしらが関わってもいいのかって感じはあるよね。』

 ……そうやって言われる事が、一番嫌い。

 何でもなんて、できるわけない。

 ただの、操り人形なのに。

 でも湖宮さんは一生懸命に処置をしてくれて、同じ目線で話しかけてくれているように感じた。

 多分、湖宮さんは誰にでも優しいんだと思う。

 教師に対しても生徒に対しても、誰にでも分け隔てない慈愛に溢れた子。

 それは違うクラスの俺でも分かる事だった。

 だって時々、教師から湖宮さんの話を聞く事があったから。

 成績優秀で欠点を探すほうが難しいくらい、聖人のような生徒……だと。

 教師をそこまで言わすなんて、一体湖宮さんはどんな人なんだ。

 今まではそう思っていたけど、今ならそれが分かる。

 湖宮さんは心配性なのか、俺に「怒っていないのか?」と聞いてきた。

 ……怒るわけ、ないじゃん。

 というかもう、俺は何があったとしても湖宮さんには怒れないよ。