極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

 温かい体温が、俺の肌に触れる。

 ……途端、俺の顔は一気に熱を持った。

 ……っ。何なんだ、この感覚は……っ。

 初めての感覚に戸惑いつつも、俺の腕は湖宮さんを離そうとしない。

 それどころか……もっと近くに、なんて願望を抱いてしまったくらいだ。

「あ、あの、そろそろ離してもらえると、助かり、ます……。」

 本当、湖宮さんが声をかけてくれたおかげで我に返る事ができた。

 小さく恥じらうような言葉が俺の耳に届いて、反射的に腕を解く。

 ……鼓動が、うるさい。

「……あっ、ごめんね湖宮さんっ。とっさに抱きしめちゃってっ。」

 距離をとっているはずなのに、うるさい脈動が収まらない。

 熱もこもったままだし、心臓がすごく痛い。

 ……だけれど嫌な感覚ではなく、むしろ少し落ち着くような痛み。

 これ以上湖宮さんの傍にいては、きっとダメだ。

 本能的にそう考えついた俺は、急いで言葉を紡ごうとする。

 でも湖宮さんがあろう事か、怪我の処置をしてくれた。

 自分でも気付かないくらいの小さなものだったけど、意識してみると少し痛む。