どうせ、クラスメイトたちが担任に言ったんだろう。

 面倒だとは思えないが、少しばかり理不尽ではないか。

 なんて……どうしようもない事を考えながら、担任から渡された資料の山を持つ。

 ……思ったよりも重量があるな。

 俺は力があるほうではない。いや、ある程度はあるけども。

 幼い頃からなぎなたや剣道の稽古をつけてもらっていたから他人よりも力はあるだろうが、俺は生まれつき力が弱いらしく。

 これぐらいで重たいと思ってしまうほどだから、やっぱり力は備わっていないらしい。

 まぁ別に、力があってもなくてもどうでもいいけど。

 ぼんやりと考えながら、静かな廊下を歩く。

 黄昏色に染まっている空間は、落ち着くというか安堵できる。

 そう思うのは俺がいつも、作って生きているからなのか。

 ……そんなの、別に気にする事でもないか。

 今更気にしたって現状は変わらない。これからも期待を積まれて、周りの操り人形として動く。

 そうしなきゃ、生きる価値がなくなる。

『あ、あの……氷堂君……だよね?』