どこに行っても何をしても、期待がついてくる。

 俺は疲れている。それなのに周りは、俺の使いどころを期待している。

 ……若干、人間不信になりかけだった。

 だけど何か結果を出さないと、何か利益を与えないと。

 そうしないと、俺の存在価値がなくなるようで怖かった。

 静かで、けど大きな期待。

 それを一心に受け続けた中、中学に進学。

 ――それが俺の、人生の転機だった。



 中学のメンツは何一つ変わっていないからなのか、教師陣は初対面なのにも関わらず俺のことを頼ってきた。

『氷堂、悪いがこれ資料室まで持っていってくれないか? この後会議があって、持っていけれそうにないんだ。』

『分かりました。それくらいならしますよ。』

『さすが氷堂! ありがとな!』

 始業式から一か月ほど経ったある放課後、俺は担任からそう頼まれた。

 こういうのは学級委員に頼めばいいのに……と口には出さないけど、思ってしまった。

 俺は委員会に入っているわけでもない、一生徒。わざわざ俺に頼んできた理由は、きっと小学校からついてきた周りの信頼。