それが今でも、記憶に新しい。

 私の悪口を言ってる人には『あんたらうるっさい! あんたらに結衣の何が分かるって言うの!』と、鬼の形相で怒鳴ってくれた事も頭に焼き付いている。

「どうしたの結衣? そんなにニコニコしちゃって。」

「ううんっ。何でもないっ。」

「えぇ~! 教えてよ~!」

「ふふっ、内緒。」

「結衣ってば~!」

 知りたがっている紗代ちゃんを横目に、思わず頬を緩める。

 私は絶対、今幸せだ。

 素敵な親友が居てくれて、何不自由なく送れている学校生活。

 このまま、卒業まで居たいなぁ……。

 そう、ぼんやり考えていた時だった。

「「「キャーーー!!! 氷堂くーーーん!!!」」」

 わっ……! す、凄い声っ……。

 窓の外からの声援とも取れる大声に、ビクッと肩を跳ね上がらせる。

 そんな私の隣で紗代ちゃんは窓の外を見つめながら、苦い表情を浮かべていた。

「朝からうるさいなぁ……。いちいち騒がなくてもいいと思うんだけど、猿じゃあるまいし。」

 さ、猿……って、紗代ちゃん言葉があんまりよろしくない気がする……。