私と氷堂君とじゃ、釣り合うはずがない。

　でもきっと弁明したって、誰も聞く耳を持ってくれないだろう。ましてや、私の話なんて。

　だからこそ……表向きだけは、“氷堂君の恋人”として振る舞おうと頑張る。

　けど絶対、徹底できるわけじゃない。

　人目がないところでは、私と氷堂君は“友達”という関係で居たい。

　そのほうが氷堂君にとっても、良いだろうし。

「だけど、私は氷堂君と仲良くなりたい。私をこうやって元気づけてくれたのなんて、男の子は氷堂君が初めてだもん。嬉しかったんだ、私。」

　氷堂君にとっては当たり前の事かもしれないけど、私からすれば当たり前じゃない。

　特別で優しさが沁みて、心が温かくなるくらい救われている。

『……湖宮さんは、ダメな人間じゃない。』

『湖宮さんが一人で抱え込む事じゃないんだよ、それは。』

『俺は湖宮さんを守りたいし、大切にしたいって思ってる。湖宮さんを隣で守らせてほしいんだ。』

　氷堂君に言われた言葉は、どれも優しくて泣きそうになるくらい温かかった。