極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

 ……私はつい、ぽかんとしてしまった。

 さっきまで私を抱きしめていた氷堂君は、とても男らしくてかっこよかった。

 でも今は……さっきまでの所作言動に慌てふためいていたから。

「……ふふっ。」

 そう考えると思わず、微笑みが洩れ出た。

 頬が緩んでしまい、片手で口元を隠す。

「湖宮さん……どうして、笑ってるの。」

「氷堂君が可愛く見えたから、かな。氷堂君がこんなに感情豊かな人だって、知らなかったから。」

 ふてくされているような氷堂君に対し、私は微笑みを浮かべたまま答える。

 氷堂君が誰にでも優しくて素敵な人だってことは、私でも知っていた。

 けどそれだけ。私が知ってる氷堂君は、そういうイメージだけだった。

 ……でも今の氷堂君は、誰よりも感情豊かで親近感が湧いた。

 大人びてて落ち着いていて、何もかもが秀でている氷堂君。

 だけど今の氷堂君は年相応……中学生らしい、幼くもかっこよくて可愛い表情をしていた。

 だから不覚にもキュンっと来てしまったのだ。