極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

「俺は湖宮さんを守りたいし、大切にしたいって思ってる。湖宮さんを隣で守らせてほしいんだ。」

「……恋人になるのは、できない。」

 氷堂君は有名人だから広まった噂はすぐには収まってくれないだろう。

 でも氷堂君の気持ちを利用するような真似だけは、したくない。

 元々は私の問題だ。氷堂君を巻き込んだのは、私だ。

 ……氷堂君がそれを踏まえていても、懇願してくれているのなら。

 私の為に、ここまでしてくれるのなら。

「だけど……お友達に、なってほしい。」

 その氷堂君の厚意を、無下にはできない。

 ……けど、その前に。

「氷堂君……あの、そろそろ離していただけるとありがたい、かな……。」

 抱きしめられたままの体制。我に返れば恥ずかしくなってきて。

 自身の恥ずかしさを押し込めながら、小さな声で訴える。

 するとすぐに、パッと腕と体温が離れていった。

「……っ、ごめんねっ。こんな急に抱き着くような真似……あーもう、俺何やってんだろ……っ。本当にごめんね、湖宮さん。つい感情的になって、さっきみたいな……抱きしめるような事して……。」