極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

「……確かに、そうかもしれない。」

 氷堂君は超がつく有名人で人気者。噂の一つや二つ、すぐに出回ったっておかしくない。

 しかも相手が阿辺君となると……嘘って言っても誰も聞いてくれない可能性がある。

 氷堂君の言ってる事がごもっともすぎて、何も言い返せない。

 ……だと、しても。

「私は氷堂君を巻き込みたくない。これは私の問題だから、私のことはほっといてくれていいから。」

 あははと、乾いた笑みを浮かべる。

 そうだ。氷堂君をこんなくだらない事に巻き込むわけにはいかない。

『お前みたいな地味女、最初から興味ないっつーの。』

 傷が癒えたわけじゃないから、少しでも気を緩めれば泣いてしまいそうになる。

 そんな事、氷堂君の前ではできない。もっと迷惑をかけてしまう。

「私は大丈夫だから、全然平気だからねっ……!」

 自分の気持ちを無視して、無理やり口角を上げてみせる。

 きっと今の私はぎこちない。どう見ても作り笑いにしか見えないだろう。

 ……それでもこれ以上は、ダメだと訴えたんだ。