極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

 私がぼんやり思っている間に氷堂君は何故かおもむろに、私の手を握ってきた。

「ひょ、氷堂君……?」

「俺と付き合ってくれないかな?」

「…………はへっ?」

 つ、付き合う……とは。

「ど、どこまで付き合えばいいのかな……? お買い物? それとも、何かのおてつだ――」

「そっちじゃないよ。恋人として、って事。」

 ですよね……。

 さっきよりも信じられない出来事が起きているからか、上手く思考がまとまらない。

 信じられないから別の可能性がないか言葉にしてみたけど、当然のようにそうではないらしく。

 真剣な瞳が私を捉えていて、間違っても冗談なんて言えるような状況ではなくなった。

 ……だけど私の答えは、もうすでに決まっている。

「ごめん、なさい。お断り……させてください。」

 無理だ。今は付き合うという事が、簡単には考えられなくなっている。

 氷堂君は罰ゲームをしない人だって分かってる。それくらいは知っているつもりだ。

 けど、万が一があったら。

 そういった可能性が少しでもあるならば、私は素直に受け入れられない。