……心臓がゾクッと、凍えた気がした。

 初めてこんな、氷堂君の冷たい声を聞いたから。

 いつも温厚で誠実で、誰に対しても分け隔てない氷堂君。

 だからこそ……動揺が大きい。

「行こう、湖宮さん。」

「へあっ……!?」

 今度は手を握られて、変な声を洩らしてしまった。

 でも氷堂君はお構いなしだというように、スタスタと阿辺君たちから私を遠ざけてくれる。

 私はほんの一瞬だけ阿辺君たちのほうを見たけど、何も分からなかった。

 ……それは氷堂君の腕を引く力が、思いの外強かったからかもしれない。