極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

 だって今、私の肩を抱いているのは……学校の王子様の氷堂君なのだから。

 驚きで声が出ない私が反射的に氷堂君を見ると、彼と視線が交わる。

 途端に氷堂君は優しい眼差しを向けてくれ、ふわっと微笑みかけてくれた。

 ……ドキッてした、今。

 流石キラキラ清純派王子様、パーフェクトフェイスの持ち主だ。

 そう再確認しあと同時に氷堂君は、視線を阿辺君たちに向けた。

 えっ……?

 その氷堂君の瞳は……今まで、見た事ないくらいに真剣だった。

「どういう意味もないよ。俺の意思で、俺の気持ちで湖宮さんを貰っていいかって聞いたんだよ。良いでしょ、俺が湖宮さんを俺のにしても。」

「っ……そいつ、超陰キャだぜ? すっげー根暗だぜ? それでも良いのかよ?」

「俺にとって、君の湖宮さんへの印象は全く関係ない。湖宮さんへの妙な偏見はやめてくれないかな。」

「偏見じゃねーし。他の奴だって、湖宮を陰キャだって思ってる。そんなの、正真正銘の陰キャ――」

「それを偏見って言うんだよ。……みんなに言っておいて、湖宮さんは今日から俺の、だって。」