極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

 泣いちゃダメだ、こんな事で泣いちゃ。

 自分自身に言い聞かせるも、効くはずなんてない。

 ……やっぱり、盗み聞きなんて良くなかった。

 盗み聞きした私に天罰が下ったのかもしれない。

 ……ううん、違う。ずっとウジウジしてるから、天罰が下ったんだ。

 絶対、そうだ。

 結局私は眼鏡に頼りすぎて、何も成長できていない臆病者。

 ただの、弱虫だったんだ。

 涙を見られたくなくて、左手を目元に持っていって一歩後ずさる。

「それじゃあこの子は、俺が貰っていい?」

 ――その時に聞こえた声は、優しかった。

 え……と驚く暇も与えられず、私はその声の主に引き寄せられる。

 はへっ……!?

 言わば肩を抱かれている状況で、声の主が誰か分かる。

 ……だけど私は、二度目の驚きを表した。

 ひょうどう、くん……?

「氷堂、それどういう意味だよ。」

 阿辺君も二人の男子生徒も驚いているみたいで、そんな質問を投げている。

 私だってそうだ。というか私が一番、状況を理解できていないかもしれない。