極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

 ……紗代ちゃんを信頼してるから、一人ででも大丈夫にならなきゃ。

 でも、不安になっていないわけじゃない。むしろその逆だ。

 何を言われるのかが予想できない分、怖気づいている部分もある。

 前を歩く阿辺君の背中を見ながら、一人うーんと考えてみる。

 私と阿辺君には接点はない。関わった事もないし、これからも関わる事はないはず……。

 なのに私を呼んだのは、やっぱりどういう意図があるのかが予想できない。

 仮説さえも立てられないから、より難しさを増している気がする。

「ここら辺でいいか。」

 その時、おもむろに阿辺君がそう言った。

 同時に足を止め、私もつられて歩くのをやめる。

 阿辺君が足を止めたのは人目がない非常階段近くで、少しだけ暗い。

 ここは滅多に誰も通らないし、私もあまり来た事はない。

 こんなところで、阿辺君は一体何を……?

「なぁ、湖宮。」

「は、はいっ!」

 反射的に大きな声で返事をして、体を硬直させる。

 けど阿辺君はそんな私を見据えて、ある衝撃的な事を口にした。