「あっ、結衣ごめんね! ついつい、安心してさ~。」

「そ、それだけなら良いけど……。」

「うんうんそれだけだよ~! あたしの生きがいは結衣だからね。」

 急にガチトーンで言ってくる紗代ちゃんに、思わず苦笑いが零れる。

 わ、私を生きがいにされても困るんですが……。

 私なんか、紗代ちゃんの生きがいになれるほどの存在じゃないのになぁ……あはは。

 少しだけ、自分で言ってて悲しくなってきたのは内緒だ。

「お前らー、自分の席に戻れ―!」

「うわっ、先生来たっ! 結衣、あたし戻るね!」

 いつの間にか次の授業に入る時間帯になっていて、立っていたり別の席に座っていた生徒は急いで自分の席に戻っていった。

 私は元々自分の席にいたから、紗代ちゃんが自分の席に座ったのを確認してノートを開いた。

 ……けど、頭に残っているのはさっきの出来事だった。

 あれは事故……だと言い聞かせても、近くまで接近したのには変わりない。

 男の子耐性がほとんどない私にとっては、必然的にドキドキする事で。