極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

 けど、それ以上に……っ。

「……結衣さん、怪我はない?」

「あっ、う、うん……な、ない、よっ……。」

 ――この状況に、胸の高鳴りが抑えられない。

 秦斗君は咄嗟に私を引き寄せてくれたみたいで、簡単に言えばバックハグ状態。

 その場に立ちすくんだまま、秦斗君は私の腕を掴んでいる。

 でも次の瞬間、秦斗君はバックハグ状態をやめて。

「この辺りは危ないから、手繋いでいよう。」

「……う、うん。」

 私の右手に指を絡めて、まだ青のままの横断歩道を渡る。

 ……かっこいいよ、秦斗君。

 やっぱりだ。秦斗君はかっこよすぎる。

 どうしてこうも、スマートに私を助けてくれるんだろう。

 私は心の中にずっと支配している気持ちを表に出してしまわないように、唇をきゅっと結んだ。

 ……また、秦斗君のこと好きになっちゃったよ。



 結局何も言い出せないまま、私の家の前に着いてしまった。

「それじゃあ結衣さん、また明日。」

 秦斗君はいつものように、ささやかな笑みを浮かべて踵を返しかける。