極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

「あっ、おいマジで連れて行くなって……!」

 私を強制的に立たせて、廊下へ移動しようとする紗代ちゃん。

 そんな様子に阿辺君が焦ったように、声を大きく上げた。

 紗代ちゃんの気持ちも、分からなくはない。

 私を守ってくれようとしているんだって、それは分かるけど。

「さ、紗代ちゃん……阿辺君のお話、少しだけ聞いてもいいかな……?」

 私だって、恐怖心がなくなっているわけじゃない。

 ……それでも、聞いてみなきゃ阿辺君に申し訳なくなりそうだった。

 私に謝ってくれた阿辺君は、きっと本心から。

 だから今、阿辺君には意地悪な雰囲気がないんだ。

 私は、そんな感じがする。

「あんな奴の話なんて聞かなくていいって! どうせ、こっちにとったらどうでもいい事なんだから。」

「……だ、ダメ? す、少しだけだから……。」

 紗代ちゃん、お願いしますっ……!

 両手を合わせて、ダメ元でお願いしてみる。

 紗代ちゃんはそんな私に一瞬、「ぐぬぬ……。」と唸った。

 だけどやがて、諦めたようにはーっと息を吐き出した。