結衣さんの言葉が気にならないと言えば、それは嘘になる。

 ホームルームを無視して、結衣さんの話を聞きたいとも思うし。

 けど俺のエゴで、結衣さんに何か悪影響があると思ったら……それだけは絶対、いけないから。

「結衣さん、そろそろ戻ろうか。ここまで連れてきちゃって、本当にごめんね。」

 俺は言葉に出し、視線を結衣さんから外そうとする。

 ……その時に結衣さんが、俺にこう言ってきた。

「か、秦斗君、今日は一緒に、帰れるからっ……その、一緒に帰っても、いい……?」

 一瞬、意味が理解できなかった。

 だって結衣さんからそんな事言ってくるなんて、思わない。

 いつも人に遠慮して、自分の気持ちを押し殺してしまいそうな結衣さん。

 ……でも、嬉しくないはずがない。

 結衣さんからそう言ってもらえるなんて、俺も少しは信用してもらえているのかな。

 この前勢いあまって告白をしてしまったから、関係はこじれるかと内心怯えていた。

 だけど結衣さんが尚自分から言ってくれるっていう事は……信用されてるかも、って自惚れてもいいんだよね。