はぁ……結衣さんと会えない時間って、こんなに憂鬱だったっけ。

 なんてため息を吐き出しながら、俺は教室から窓の外をぼーっと見ていた。

 昨日の引き続き、結衣さんと学校に来れていない。

 正確には昨日の下校から、だけど。

 どうして昨日、用事なんか入っちゃったんだろう……。

 母さんからいきなり言われた、少し遠い場所に住んでいる親戚までお裾分けをしにいけ……って。

 人使い荒すぎだな、相変わらず。もう慣れてしまったけど。

 母さんの人使いの荒さは昔から半端じゃない。母親らしくはあるけど、俺とはあまり関わらない。

 父さんも仕事人間だから、会話なんて下手すれば数えるほどしかない。

 ……だから自立できる年齢になったら、すぐにあの家を出ていきたい。

 それであわよくば、結衣さんと一緒に生きていきたい。

 結衣さんの目は、いつも穏やかで波がなくて、優しく温かい。

 そんな結衣さんだからこそ、誰にでも優しい。優しすぎるくらいに。

 俺とはやっぱり、比べ物にならない。

 いや、比べるのもおこがましい。