私は、なんて事をしてしまったんだ……!

 お節介だったよね、間違いなく……。

 誰彼構わずにお節介を発症するのはあまり良くないと、紗代ちゃんに教えられた。

 なのに、ついいつもの癖でしてしまった。

 怒られちゃう、かな……。

 何を言われるかが怖くて、ぎゅっと拳を握る。

「謝らないで。ありがとう、湖宮さん。とっても嬉しい。」

「へ……?」

 でも、代わりに聞こえてきたのはお礼の言葉だった。

 予想していた言葉と正反対の言葉を言われて、私は呆気に取られてしまった。

「お、怒ってない、の……?」

「怒る? ……そんなわけないよ。湖宮さんは俺の為にこうしてくれたんだから、怒るわけないよ。むしろ、もっとお礼を言わせてほしいくらいなのに。」

「こんな事でお礼なんていいよ……! 私の独断だからっ。」

 私の勝手な判断でしてしまった事だから、お礼を言われるほどではない。

 だけどお礼を言われると照れてしまうのは必然の事で、氷堂君に笑顔を返した。

「えへへっ、こっちこそありがとうっ。」