「どうして阿辺と一緒に居たの? あいつ、超最低野郎でしょ?」

「そ、そこまでは思ってないけど……た、たまたまだよっ。」

「ふーん……ほんとに?」

「ほんとに。」

 自分たちの教室に帰ってきてから、紗代ちゃんに何度もそう聞かれる。

 紗代ちゃんが心配してくれるのは、とっても嬉しい。

 阿辺君との事も言っているから、きっと余計に心配してくれるんだと思う。

 だから大丈夫な事を伝えられるように、めいっぱいの笑顔を浮かべた。

「うんっ! 実はね、阿辺君謝ってくれたんだ。私に、嘘告白をした事。」

「えっ、そうなの?」

「そうなんだっ。だから、何かされたわけじゃないから私は大丈夫!」

 むしろ、阿辺君の優しい一面を見た気がする。

 ……だけど告白された事は黙っておこう。

 直感的に言わないほうがいいと思ったし、わざわざ言うべき事でもない。

 告白とかはデリケートな話だから、自分から話すのはきっと良くない。

 そして私の言葉を聞いた紗代ちゃんは、どこか遠い目をしながらぽつりと呟いた。