怪我の具合的に、少し前にできた傷みたいだ。

 深くはなさそうだけど、このまま放っておくと化膿しちゃうかもしれない。

「氷堂君、足洗ってこようっ! そのままだと傷が治らないよ……!」

「あぁ、これの事? ……大丈夫だよ、俺は。」

 あははと乾いた笑みを浮かべた氷堂君。

 でもその表情が痛みを我慢しているようなもので、私はとっさに氷堂君の腕を掴んでいた。

「わ、私が大丈夫じゃない……ですっ!」

 慌てて言ったからか敬語になってしまったけど、今はそれを気にする事はしない。

 私は少しだけ強引に氷堂君を近くの蛇口に連れていって、血を流してもらった。

 こういう時のために、やっぱり必要だよねっ。

 いつも体育の時間に近くに置くようにしているポーチを手に取り、綺麗なハンドタオルで怪我の部分を乾かす。

 そして絆創膏を貼ったところで、私はやっと我に返った。

「あっ……氷堂君、勝手な事しちゃって、ごめんなさいっ……! 余計なお世話、だったよね……。」

 自分の失態を思い出し、血の気が引く思いに襲われる。