この前よりもずっと真剣で、思わず信じてしまいそうになる。

 阿辺君は悪い人じゃないって、分かったよ。

 きっと良い人なんだって事も、優しいんだろうなって事も。

 ……でも、やっぱり無理なんだ。

「ごめんね、阿辺君。私は、その気持ちに応えられない。」

「俺が本気でって、分かってるのか?」

「……うん、分かってるけど……無理、なんだ。」

 また裏切られるかもしれない……なんて、考えたくないから。

 多分、私は阿辺君をどこかで怖がっている。眼鏡を外していても大丈夫だとは言え、傷がついた心は急には癒えてくれない。

 そんな考えを抱いていた私の答えは、断るしかなかった。

 そうしたほうがきっと、阿辺君にとっても良いはずだから。

「……だったら、氷堂だったらいいのかよ。」

「か、秦斗君……?」

「あぁ、あいつとだったら付き合えんのか? つーか、あいつのこと好きなのかよ。」

 不意に告げられた秦斗君の名前に、あからさまに鼓動が早くなっていく。

 秦斗君とだったら、付き合えるか……。