そんな事を勝手に予想して、緊張しながら待つ。

 ……その瞬間、阿辺君は私の腕を掴み上げた。

 そのまま、近くの壁に私を押し付ける。

 へっ……!?

 急な事すぎて何も反応できずにいると、間髪入れずに阿辺君のまっすぐな声が聞こえた。

「湖宮、氷堂と付き合ってないんだろ。」

「そ、そうだけど……。」

「だったら……――俺と付き合わね?」

 …………はいっ!?

 あ、阿辺君と、つ、付き合う……?

 さっき、阿辺君は嘘告白について謝ってくれた。

 だからまた、嘘告白をしてくるとは考えにくい。

 ……でも、信じられないよ。

 けど私がそう言う前に、阿辺君は全てを悟ったような表情を浮かべた。

「分かってる、俺はこんな事言える権利ねーって。」

 そこで息を一つ吐き、もう一度私を見据えて。

「だけど、湖宮みたいなお人好し馬鹿と付き合えたら幸せかもなって思った。まぁ、湖宮にここまですぐ絆されるとは、俺自身も思ってなかったけどな。」

 真剣な視線と声色で、うっと言葉に詰まる。