「っ、わっ!」

 眼鏡を投げて渡され、思わず大きな声を出してしまった。

 反射的に手を出したおかげか、眼鏡は落ちずに済んだ。

 ふぅ……落とさなくて良かった……。

 伊達とはいえ、ずっとつけてきているから愛着がある。壊したくない。

 ……私を守ってくれた、お守りだから。

 まだ学校で外す勇気は出ないけど、ゆっくり少しずつ外していければいいな。

 なんていう、淡いような願望を抱く。

「なぁ、俺の告白が嘘って知った時……泣いてただろ。そんなに、俺の告白が嬉しかったのか。」

「……うん、とっても。私に好意を抱いてくれる人が居るんだって、心に沁みて。」

 それは結局偽りだったけど、嬉しかったんだよ。

 自信がつきそうにも、なっていた。

 阿辺君のこと、信用してもいいのかな……って思ったりもしたし。

 ……だから、嘘だって分かって怖かった。

 人を信用するのには、それ相応の覚悟がいるんだなぁ……と、考えてもいた。

「阿辺君のことは今でも怖いけど……嘘でも、私に告白してくれてありがとう。」