「けど。」

 でも、おもむろに阿辺君がそう言う。

 そしてすぐに、私をまっすぐに見つめたんだ。

 ……何かの意味を、持たせるように。

「今日で少しだけ、湖宮に対する印象は変わった。お人好しって事、追加しとく。」

 これは、褒められているのか貶されているのか。

 お人好し……って、そういうわけじゃないと思うけどなぁ……うーん。

 私はただ、無視できなかっただけ。無視してしまえば、後悔が残ると思っただけ。

 それだけでお人好しって言われてしまっても、結局困ってしまう。

「つーかさ、そのでっかい眼鏡外せば? 見てる側からして、めちゃくちゃウゼーから。」

「は、はいっ……!?」

「どーせ地味なのは変わらねーだろ。さっさと外してみろ。」

「えっ、そ、それは……遠慮、しま……――っ!」

「だったら俺が外してやる。」

 丁寧にお断りすれば、阿辺君も引いてくれると思ってた。

 だけどそれで乗り切れるほど……阿辺君は甘くなかった。

 阿辺君の手はすぐに伸びてきて、あっけなく眼鏡を外される。