極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

 阿辺君と居るのは、気まずい。気まずすぎる。

 あの嘘告白以来全く話していないところも相まって、無意識に一歩身を引く。

 物音を立てなければ、きっとバレない。

 ……ふっと、そんな考えを巡らせたと同じタイミング。

「っ……!」

 グラッ、と大きな棚の上の荷物が揺れる。

 そしてその下には、阿辺君が居る。

 危ない……っ!

 あのままじゃ、阿辺君にその荷物が落ちてしまう。

 当たりどころが悪かったら、本当に危険だ。

 阿辺君と関わるのは、怖い。

 ……それでも、見て見ぬふりをするわけにはいかないって、思ったから。

「阿辺君っ!」

「誰だ……って、うわっ……!」

 駆け足で阿辺君のところまでいき、腕を掴む。

 そのまま自分のほうにぐいっと引き、荷物が直撃しないように避けさせる。

 途端、阿辺君の背後から言葉にしようのない激しい音が聞こえた。

 あの荷物にはきっと、固いものとかも入っていたはずだ。だからこんなに音が立っている。

 私はすぐに阿辺君から手を離し、確認を取った。