温かくて、落ち着くような。

 ……ドキドキが、収まってくれない。

 思えば、今日ずっとドキドキしている。心臓がうるさい。

 ……ううん、違う。

 そこまで考えてから、私ははっとした。

 ――秦斗君に、ドキドキさせられているんだ。

 何でそうなってしまうのかは、今は分からない。

 少しずつ暗くなっていく空の色に包まれながら、私は一人そう思っていた。