極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

 前にも話した事はあったけど、一言二言交わしただけ。

『これ、持っていくの手伝います!』

『ありがとう。』

 その時は私はまだ氷堂君が有名な事を知らなくて、綺麗な人だなぁ……みたいな感想だけだった。

 後日に、そんな有名な人だったのかと教えてもらって、私なんかが近付いても良かったんだろうかと心配になった。

 ……なんて、氷堂君との出会いを思い出していた時。

「わっ!」

 考え込んでいたからか、足元に転がっている部品に気付く事ができずつまづいてしまう。

 体が少しだけ宙に浮く感覚になり、反射的に目を瞑った。

 このままじゃこけちゃうっ……!と、痛みを覚悟する。

「湖宮さんっ……!」

 けど、そんな言葉と共に私はふわりと抱き留められた。

 あれ、痛くない……?

 痛みが来ない事を不思議に思って、ゆっくりと目を開ける。

「あっ、わっ、ひょ、氷堂君っ……!?」

 思わず素っ頓狂な声を上げて、一人であわあわと慌てる。

 何故なら、今の状態が驚かざるを得ない状態だから。

 私……氷堂君に抱きしめられてるっ……!?