極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

「私……人と関わるのが昔から苦手なんだ。でも、眼鏡をかけたら安心できて……それでなんとか、生活はできてるんだよね。」

「それじゃあ俺が仮交際を申し込んだ時も……本当はずっと怖がらせてしまっていたの?」

 秦斗君が心配そうに目を伏せる。

 だけど私は裏腹に、はっきりと答えた。

「ううん、怖くなかった。驚きはしたし、戸惑いもしたけど……秦斗君は、あの時私を守ってくれたから。」

 阿辺君たちに言ってくれたから、怖くなかったよ。

 むしろ……心から感謝している。私には、ありがたすぎていた。

「本当にありがとう。私のことを、守ってくれて。それがずっと、支えになってたから。」

 感謝してもしきれないけど、ちゃんと言いたい。

 自分の口から、ありがとう……って。

「話してくれてありがとう。俺、結衣さんにそれくらい信頼されてるって思ってもいい?」

「うんっ! 秦斗君は私にとって、とっても大事な人だから!」

「……大事な人、か。」

 小さく、呟かれたその言葉が聞こえる。

 その途端、秦斗君は不意に私の左手を持ち上げた。