こうやってサラッと嬉しくなる言葉を言える人って、本当に凄いなぁ……。

 今日を通して、秦斗君への憧れがより強くなった気がする。

 前々から尊敬してたけど、秦斗君はやる事成す事がスマートすぎるから憧れても憧れ足りない。

 私も秦斗君みたいな、素敵な人になりたい。

 ……実はあのジェットコースターの後、ずっと考えていた。

 私が眼鏡をかけている理由。正直に言おうか、そのまま隠すか。

 アトラクションはもちろん楽しんだけど、最後にはその問題が思い出される。

 隠している事で、秦斗君に後ろめたい気持ちが生まれる。

 きっと秦斗君は、隠し事をしない人だ。

 秦斗君のようになるには、ちゃんとはっきりさせたほうがいい。

 ……本当は少しだけ、怖いけど。

「秦斗君。私が眼鏡をかけはじめた理由、聞いてくれる……?」

「……うん、もちろんだよ。」

 秦斗君も一瞬、戸惑いの色を表した。

 けど気にならないくらいの笑顔を代わりに見せてくれ、少しだけ緊張が解れる。

 だから自分が思っていたよりも、すっと話し出す事ができた。