そろそろ夕方に差し掛かり、周りがオレンジ色に染まってきた頃。

「結衣さん、最後に観覧車乗らない?」

 おもむろに言われた秦斗君の言葉に、私は一瞬だけきょとんとしてしまう。

 だけど私も観覧車に乗ってみたかったから、大きく頷いて返した。

「うんっ、乗ろうっ。」



「それではいってらっしゃ~い!」

 キャストさんがそう言ってくれたと共に、閉じられるゴンドラの扉。

 観覧車を待っている人はそれほど居なくて、案外すぐに乗る事ができた。

 秦斗君と向かい合わせに乗り、きょろきょろと辺りを見回す。

 このゴンドラ、おしゃれだなぁ……。

 私たちが乗ったゴンドラは落ち着いた配色のもので、無意識にほっと息が吐ける。

 アトラクションのライトアップも綺麗だし、本当に来て良かった。

「秦斗君、今日は誘ってくれてありがとうっ。」

「こちらこそ。俺も結衣さんと来れて楽しかったし、よければまた一緒に行かない?」

「もちろんっ。」

 ニコッと微笑み返してくれた秦斗君の対応は、まさに王子様そのもの。