二人が盛り上がってる最中だから、割り込むのも何だか気が引けるし……どうしよう。

 そう、途方に暮れてしまっていた時だった。

「ねぇ、そろそろ結衣さんのこと帰してくれない? ……俺の、なんだけど。」

 拗ねたような、不満そうに思う声が頭上から聞こえてくる。

 それと同時に私の体は、ぐいっと強い力で秦斗君のほうに引き寄せられた。

 ……へっ!?

「わぁ、氷堂の独占欲やばー。でも、そうなるのも仕方ないかもね。」

「うんうん。湖宮さんこんな可愛いんだったら、ここまで過保護っぽくなるのも納得~。」

「ふっ、あたしたちはお邪魔かしらね。」

「それ同意~、そろそろ行こっか。……っていう事なので、お二人さんバイバ~イ。」

 愛澤さんと沢海さんは何やら意味深な笑みを浮かべ、手を振ってどこかへ行ってしまった。

 その背中を見送りながら、私は今の状況にドキッが胸が高鳴る。

 これ……抱きしめられてる……?

 そう理解するのに時間はかからなくて、かぁぁっと顔が熱くなっていくのが分かる。