極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

「寝たら起こして。」

「だ、だから寝ちゃダメだってば……。」

 今にも寝そうな紗代ちゃんに苦笑いを零しながら、教室に帰ろうと体育館を出ようとする。

 だけどその時、私の足元にてんてんとサッカーボールが転がってきた。

 あれ、片付け忘れかな……?

 そう思いつつボールを拾い上げ、紗代ちゃんにこう伝える。

「このボール片付けてくるから、紗代ちゃん先に帰ってて!」

「それじゃああたし待ってるよ?」

「ううん、大丈夫っ。それよりも紗代ちゃんが授業に遅れちゃったらダメだし!」

 念を押すようにそう言うと、紗代ちゃんは納得したように笑顔を浮かべた。

「分かった! でも、結衣も早く帰ってくるんだよ?」

「うんっ!」

 心配そうな影を落としている紗代ちゃんに、私は大きく頷く。

 紗代ちゃんに心配かけたくないし、私も授業には遅れたくないから心得てるつもり!

 紗代ちゃんと別れて駆け足で用具倉庫に向かう。

 ううっ、やっぱり外は暑いなぁ……。

 もう秋なのに……と思いつつ、用具入れの中に入ろうとする。