……この誘いに、乗ってくれるか。

 仮交際が始まってまだそこまで日が経っているわけじゃないから、警戒されて断れるだろう……とどこかで思う。

 でもそれは仕方がない。結衣さんは嘘告をされたんだ、警戒しないほうがおかしい。

 本当は、承諾してほしいけど……。

 母さんのお節介としても、感謝していないわけじゃないから。

 ……もしかしたら母さんは、俺のことをちゃんと見てくれるようになったのかな……なんて。

 親も俺の本質を見てくれない。それは俺の印象だったのかも……と、最近では思い始めている。

 だって、気を遣わせてしまったから。

 それでも、この手を利用しないわけにはいかない。

「え……それ、私でいいの?」

 だけども結衣さんは拒否の色を見せる事なく、その逆で嬉しそうにしていた。

 でも不安がっているようで、恐る恐るといった感じも見せる。

 ……何それ。

「結衣さんじゃなきゃダメ。」

 俺は、結衣さんとだから行きたいと思ったんだ。他の人にはこんな事絶対言わない。