「だって,そうだろ来栖さん。あいつはそれ以外の方法で女を寄せ付けない。しかも,そういう誘いを一切拒まないんだ。いつか自分をって,期待に気付いても知らんぷりをしてるんだから」
図書室で見た彼は,確かにこなつちゃんを拒絶していたように思う。
それに,彼一人に非があるとも,どうしても思えない。
何より……もしかしたら,甚平くんのいう榛名くんはとても断片的で,それも今の榛名くんは少しも含まれていないのかもしれない。
噂という言葉。
甚平くんの榛名くんの像。
全てを照らし合わせ,どこか聞いたことのある話だと思う。
「あ……まさか……。あの榛名くんが,榛名くん??」
「やっぱり,1度くらい聞いたことあるか。これで信じてくれるだろ?」
「ええ,別に疑っているわけではないわ」
そんな……
人によって見せる自分は違うとはいうけれど……私の知る彼とは,まるで別人だわ。



