俯く私に,ようやく甚平くんは目の前の現実を受け入れる。
私から目をそらして
「……セックスだよ。聞いたことくらい,あるだろ。まさか,それも,ない……?」
「……え……ま,まああ……え,ええ?!? ……ちし,知識としては……その……」
「どんな行為か,分かる?」
「ええ……たぶん」
リアルな現場を見たことがあるわけじゃない。
ただ,紗ちゃんにおすすめされた漫画から,不意打ちできっと全て知ってはいると思う。
それまで1から説明しなくてはいけないとでも思っていたのか,甚平くんは汗を流しながら深く息をはいた。
え,でも,それじゃ……
「榛名くんは……複数の女の子と,その,そういうことを……?」
私の目撃した現場が,途端に別のものに見える。
2人の関係が,一気に変わる。
「そうだよ。ただの噂なんかじゃない。全部ほんとの事だ」
「そんな,でも……私達,まだ高校生なのよ?! 榛名くんなんて更にまだ2年……それも1年の頃からだって言うの?!」
「…………………」
また気まずい沈黙。
もっとはっきり言ってくれればいいのに。
もう驚いたりしないわ。



