本当はとても嫌で,何を聞かされるのととて
も怖かった。
けれど,そんな懇願するような姿を見せられて,今更戻りますとはとても言えない。
「あいつは……入ってきた頃から女遊びで有名だった」
女……遊び?
キスとか,ハグとかかしら……
こなつちゃんも,その一人……?
「寄ってくる人間を拒むことなく,せがまれれば誰とでもヤって。そのくせ去っていく行くやつは好きにしたらと横柄な態度。その上,自分が飽きたらすぐに捨ててきた」
嫌悪感たっぷりの甚平くんだけど,その感情に上手く乗っかる事の出来ない私。
「え? ん……え? 話を止めちゃってごめんなさい,あの,ヤるって,なに?」
人殺しでしか聞いたことの無い表現だわ……
途端に口ごもった甚平くん。
しん……と重たく空気が落ちて,あまりの居たたまれなさに肌がひりつく。
どうも甚平くんと私の基準がズレていて,それに対して彼は困惑しているようだった。
「そんな……どうやって今まで生きてきたら……」



